- 著者:有栖川有栖
- 出版社:東京創元社
- 作品刊行日:1992年02月01日
- 出版年月日:1999年04月26日
- ページ数:640
- ISBN-10:4488414036
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双頭の悪魔という有栖川有栖の推理小説をご存じですか?
この作品は「週刊文春ミステリーベスト10」で1992年に4位を取っただけでなく、「このミステリーがすごい!」で1993年に6位、2008年に発表された「このミステリーがすごい!20周年ベスト・オブ・ベスト」ではなんと8位にランクインした程の作品なのです。
しかも僕が好きなアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』の中の読書好きなキャラが選ぶ、長門有希の100冊にも選ばれています。
旅に出ていた僕は何気なくこの本を手に取ったのですが、なんと偶然にも本を読んでいる場所と、この小説の舞台が重なっているという運命。
この作品の舞台は四国なのです。
それはなぜか?
という事で『双頭の悪魔』についてレビューをしていきたいと思います。
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小説『双頭の悪魔』 – 有栖川有栖・あらすじ
読書エフスキー3世 -双頭の悪魔篇-

あらすじ
書生は困っていた。「長期連載すると最初とキャラが全然違う事ってよくありますからね!」と仕事中に寝言を言ったせいで、独り、無料読書案内所の管理を任されてしまったのだ。すべての本を読むには彼の人生はあまりに短すぎた。『双頭の悪魔』のおすすめや解説をお願いされ、あたふたする書生。そんな彼の元に22世紀からやってきたという文豪型レビューロボ・読書エフスキー3世が現れたのだが…
双頭の悪魔 -内容紹介-



この道を通ったことがある。
私はそう思った。
いや、そう感じた。ここが初めて歩く道であることは確かなのだから、自分は単にありふれた既視感と戯れているだけなのだ。引用:『双頭の悪魔』有栖川有栖著(東京創元社)







双頭の悪魔 -解説-



































彼女の誕生日が聖母マリアと同じ九月八日だというのが表向きの理由。有馬麻里亜というフルネームが回文、すなわち上から読んでも下から読んでも同じで愉快だというのが裏の理由らしい。マリアも洒落好きの祖父を持ったのが災難だった。
P.16
引用:『孤島パズル』有栖川有栖著(東京創元社)













































































































批評を終えて











いつもより少しだけ自信を持って『双頭の悪魔』の読書案内をしている書生。彼のポケットには「読書エフスキーより」と書かれたカセットテープが入っていたのでした。果たして文豪型レビューロボ読書エフスキー3世は本当にいたのか。そもそも未来のロボが、なぜカセットテープというレトロなものを…。


名言や気に入った表現の引用


色んな人と色んな話をして、私というがら空きの本棚に一冊ずつ本が並んでいくような、そんな気がするのです。
P.37
九月に久しぶりに会ってその後、五回会いましたけれど、会うたびにきれいになっていくみたいで。――だから私はあまり心配していないんです。女の子がきれいになっていくのに悪い意味ってないと思うからです
P.55
にやり、と音がしそうなねっとりとした笑みを浮かべた。苦手な人も多いだろうが、私は、彼のこの笑みが嫌いではない。その表情は――うまく言えないのだけれど――とても自由なものを私に感じさせてくれた。多分、人間はこんなふうに笑ってもいいのだ。
P.63
私は雨が好きだ。霧しぶくような氷雨。しとしとと降り続く六月の雨。夏の日に駆け抜ける夕立ち。罪人を打擲するような夜の驟雨。目覚めの窓辺で聴く雨だれ。頭の上で雨を弾いて鳴る傘。庭で土がたてる柔らかな呟き。雷鳴。霞む遠い山。波紋が踊る水溜まり。洗われる花。濡れて光る街路。そんなどれもが好きだ。でも、一番好きなのは、雨の最後の一滴が空から落ちた後に訪れるもの――雨上がりだった。
そう、雨が好きなのは、それがいつかやむと判っているからなのだ。P.78
人間って、知らないうちに人を食べていることがあるんですね
P.98
玩具箱をひっくり返したようなこの小説なら、ぐちゃぐちゃになりかけた今夜の頭中をシャワーしてくれるだろう。混乱をもって混乱を制す、だ。
P.99
僕たちは口々に見えない相手に呪詛の言葉を浴びせた。相手がこの場にいれば、罵声の弾丸でボニーとクライドになっただろう。
P.132
居候は主の許可がなくては遠慮もできない。
P.177
何てお気の毒な、と思おうとしているのに、私はまだ実感が湧かない。放心してしまうと、人は冷静なのだ。
P.211
笑えよ。詩人なんかにごまかされるな。詩に欠けてるのは笑いだ。自分を笑えないような奴ばかりが詩を書きたがる。糞溜めに放り込んだ上で、頭を踏みつけて沈めてやりたくなるような詩人どもにごまかされるな。
PP.222-223
彼は直接口にしていなかったが、報道の自由、言論の自由という言葉がぽっかりと頭に浮かんだ。弱い者しか向かっていけない者がこの言葉を口にするのを聞く時、僕は心底不快になる。そんな輩は、狂犬のような右翼が寝室のドアを蹴破りにきた時に自分はどう対処するだろうか、ぐらいのことも想像せずに、へらへらと自由を口にするのだ。
P.231
望月は納豆と格闘していた。いつもなら食べない、彼曰く『悪魔の朝食』を土佐の山奥で思いがけず昼食に出されて苦労している。
P.247
過食症や拒食症やいう摂食障害は女性に多い病気です。破壊衝動が自分の容姿を醜くしてやれという形で現れるというがは、それだけ女性にとって容姿というものが重大な意味を持つということでしょうなぁ。痛ましいような気がします。
P.249
自然が彫刻品を提供してくれたので、私は建築家、そして石工にならねばならぬと思った
P.282
人は見かけによらない、という言葉はその人の技倆だけを指すものではないのだ。きっと、抱く夢想の大きさをも含んだ警句に違いない。
P.283
運命なんて犬と同じだ。逃げる者に襲いかかってくる。
P.342
あの人にはかなわない、という先輩を持つことは楽しいことであり、また幸福なことでもある。
P.399
太っていて悪いことなんかない。君は一番体重が多い時でも充分チャーミングだった。問題は心にある。ライオンに襲われた駝鳥が砂に顔を埋めて危険はない、と自分を偽るようなことをしても食い殺されるだけだ。体重計の目盛りじゃなくて、その駝鳥コンプレックスが君を不幸にしているんだ。現実が少々重いなら、歌えばいいじゃないか。君の歌なら悪魔でも聞き惚れる。そうして恐怖を払えば知恵も湧いてくる。むしゃむしゃ食べて現実から逃げるのなんかやめてくれ。お願いだ
P.418
庭に死体を埋めた人間はしばしばその上に花を植えようとする。
P.501
家出は癖になることがある
P.505
人が秘密を交換し合うには何か非日常的な時間が必要なのかもしれない。
P.509
核戦争で人類が全滅しても、俺は最後の一人になって生き残るつもりやから
P.514
子供の頃見えていたものが大人になると見えなくなる。そんな感傷的な言い回しがありますが、それには賛成できない。子供が見る夢など他愛のないものばかりですよ。夢見る力などありません。深い夢に酔えるのは大人です。そして、子供の日に見た朧な夢を大人は一生忘れないんですよ。
P.529
読者は糸を手繰るだけでは迷宮を抜け出すことは叶わないだろう。脱出の手前で行く手に立ちはだかる最後の岩盤を、イマジネーションの力で爆破していただきたい。
P.634
神様だの運命だのに操られるだけで充分なんや、人間は
P.672

双頭の悪魔を読みながら浮かんだ作品


レビューまとめ

ども。読書エフスキー3世の中の人、野口明人です。最近ネコと一緒に昼寝する事にハマっています。
さてさて『双頭の悪魔』の評価ですが、有栖川有栖はドハマりする感じの作家ではなかったですが、一つの娯楽作品として『双頭の悪魔』は読んでいて面白かったです。
特に旅先で、舞台となっている場所の近くで読んでいるという体験が格別なものでした。
ただ本格派の推理小説として読むのであれば、やっぱり同時代の作家で言えば綾辻行人とかの方が面白いかな…。
ちなみに綾辻行人、法月綸太郎、有栖川有栖などを代表する新本格派は、京都大学推理小説研究会出身が多いです。有栖川有栖は同志社大学推理小説研究会なんですけどね。
そんな影響もあって、この作品は大学の推理小説研究会のメンバーが主要キャラです。
キャラ物として読むとかなりいい感じのキャラが多いので学生アリスシリーズとして、シリーズ化されているのも納得いきます。
それにしても有栖川有栖はシリーズ物が多いです。今回の学生アリスシリーズをはじめとして、作家アリスシリーズ、ソラシリーズ、濱地健三郎シリーズなどなど。
ここからわかるのは、有栖川有栖はある程度キャラ愛を持って作品を作っていくタイプだという事です。
なので、そのキャラがピシャっとあなたにハマったのであれば、有栖川有栖は沢山作品を出している人なので素晴らしい読書時間を提供してくれる事になるでしょう。
もし『双頭の悪魔』が面白かったら、ぜひ振り返って『月光ゲーム Yの悲劇’88』と『孤島パズル』を読んでみてくださいませ。すべてに共通しているのは、誰がその犯罪をすることが可能だったか?という謎解きです。
個人的には三つの中ではやっぱり『双頭の悪魔』が一番面白かったかな。
ではでは、そんな感じで、『双頭の悪魔』でした。
ここまでページを閉じずに読んで頂いて本当にありがとうございました!
面白かった!と思ったあなたは是非別の記事も読んでいただけると嬉しいです。
最後にこの本の点数は…
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双頭の悪魔 - 感想・書評
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双頭の悪魔
- 読みやすさ - 87%87%
- 為になる - 70%70%
- 何度も読みたい - 72%72%
- 面白さ - 83%83%
- 心揺さぶる - 63%63%
読書感想文
有栖川有栖という作家を知るにはまずはこの作品から読むのが最適かと思います。「誰がこの犯罪が可能だったか」ただそれだけをひたすら考えて読み続けるストイックな読者に3つも挑戦状が叩きつけられるので、脳みそに汗かきながら読書をするなら最適な推理小説でしょう。あと大学生ものが好きな人にもオススメ。大学のモラトリアム期間にこんな仲間がいたなら楽しそうだな…っていう青春を感じて読める作品です。