- 著者:ダン・シモンズ
- 翻訳者:酒井昭伸
- 出版社:早川書房
- 作品刊行日:1990年
- 出版年月日:2001年03月31日
- ページ数:1050
- ISBN-10:4150113483
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ハイペリオンの没落というダン・シモンズの小説は、4作続くハイペリオンシリーズの第2作品目にして、前作『ハイペリオン』と今作『ハイペリオンの没落』で一旦話はまとまります。
3作品目の『エンディミオン』と4作品目の『エンディミオンの覚醒』は時代が変わって、新しい主人公になるので、まぁ続きが読みたい人はどうぞという感じでしょうか。
個人的には4作品の中で、1番凝った作りになっているのは今回の『ハイペリオンの没落』だと思っています。
というのも、この作品、とにかくどんでん返しがすごい。
前作『ハイペリオン』でばらまいた謎という謎が回収され始め、「え!?そうだったの!?」というあっと驚く展開に、脳みそが沸騰してピーピーと脳内ヤカンが鳴った状態で次々とページをめくってしまいました。
ランナーズハイならぬ、リーディングハイとも言える状態で読書が楽しすぎたのです。
まぁ、『ハイペリオン』という名前がついた小説なのに、謎の惑星ハイペリオンに到着するまでが前回の話でしたからね。今回はがっつりハイペリオン内部でバチバチやっております。
いわゆる解答編というものでしょうか。マクロだった世界がミクロになって、数々の謎が解明されていきます。
しかも科学的に。神秘的に見えたものが科学的に解明されていくのです。これこそサイエンス・フィクション!
すげーよ!ダン・シモンズ!
ということで、今回は『ハイペリオンの没落』についてレビューしてきたいと思います。
この作品は、前作で「ついていけない…」という人でも「面白いじゃないか!」と評価が一変する作品になっておりますので、お楽しみに…
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小説『ハイペリオンの没落』 – ダン・シモンズ・あらすじ
読書エフスキー3世 -ハイペリオンの没落篇-

あらすじ
書生は困っていた。「ギャグの強要ハラスメントですよ!」と仕事中に寝言を言ったせいで、独り、無料読書案内所の管理を任されてしまったのだ。すべての本を読むには彼の人生はあまりに短すぎた。『ハイペリオンの没落』のおすすめや解説をお願いされ、あたふたする書生。そんな彼の元に22世紀からやってきたという文豪型レビューロボ・読書エフスキー3世が現れたのだが…
ハイペリオンの没落 -内容紹介-



無敵艦隊が出撃する日――世界のありようが終焉を告げるまさにその日、ぼくはパーティーに招かれた。その夕べ、〈ウェブ〉を構成する百五十以上の惑星では、いたるところでパーティーが開かれていたが、唯一重要なのは、ぼくの招かれたそのパーティーだけだった。
引用:『ハイペリオンの没落』ダン・シモンズ著, 酒井昭伸翻訳(早川書房)







ハイペリオンの没落 -解説-




































































































































批評を終えて











いつもより少しだけ自信を持って『ハイペリオンの没落』の読書案内をしている書生。彼のポケットには「読書エフスキーより」と書かれたカセットテープが入っていたのでした。果たして文豪型レビューロボ読書エフスキー3世は本当にいたのか。そもそも未来のロボが、なぜカセットテープというレトロなものを…。


名言や気に入った表現の引用


映画や立体映画の宇宙戦シーンには、ぼくはいつも退屈をおぼえるが、これが本物となると、それなりに興味深い面もある。むしろ、一連の交通事故の生中継を見ているような感じといえばいいだろうか。この撮影にかかるコストは――何世紀も前からずっとそうであったように――通常予算のホロドラマよりも格段に安いはずだ。莫大なエネルギーが消費されているにもかかわらず、本物の宇宙戦が見る者にいだかせる印象は貧弱そのもの。宇宙はあまりにも広大であり、人間の艦隊も艦艇も超弩級艦も戦闘艦も、ごくごくちっぽけなものでしかない。
P.109
はじめて会う人物と旧交をあたためていただけですよ
P.195
芸術家が箔をつけるには、死ぬか引退するか、どちらかがいちばん
P.215
ふと、スウィフト描くガリバーの話を思いだした。理性ある馬の国――フウイヌム国からもどってきたあと、ガリバーは人類に嫌悪をおぼえた。それはきわめて強烈な嫌悪で、厩でなければ――馬のにおいと存在感で安らぎをおぼえなければ――眠れなくなったほどだ。
P.254
苦痛と犠牲になんらかの価値があるという保証はまったく得られませんでしたよ。ただただ、苦痛だけでした。苦痛の果ての暗黒、そしてまた苦痛のくりかえし……
P.443
もしかすると、人はすでに、あまりにも神を冒瀆しすぎたのかもしれません……
P.444
ついに悟った。結局のところ――ほかのすべてが塵と化すなかで――墓までもっていけるものは、愛する者に対する変わらぬ誠意だけであることを。そしてそんな愛の証は、信じることだ――無条件に信じてやることだ。
P.475
「未来にはふたつの選択肢しかない」と、静かに応じた。「戦争と極度の不安定か、平和と完璧な崩壊か。わたしは戦争を選んだ」
P.11(下巻)
盗むべきものがあるとすれば、わすれられた名人の技だ
P.23(下巻)
これは詩人への、宇宙からの贈り物なのだ。自分が感じとり、詩に移しこもう、散文に封じこめようと、長く無為な一生を費やしたあげく、結局徒労におわったものの正体は、苦痛の物理的な投影にほかならない。いや、苦痛よりももっと悪いものの――不幸。なぜなら宇宙は、万物に苦痛を与えているからだ。
P.31(下巻)
この世に古い本のにおいほどすばらしいものはない。
P.56(下巻)
死ぬのはたいへんだ。生きることはもっと難しい。
P.71(下巻)
彼らはわたしの文書も焼いてしまうでしょうか? いくら彼らでも、一万年におよぶ思考の成果を滅ぼしてしまえるものでしょうか?
P.113(下巻)
「金塊をやる」と領事はいった。
いつの時代になっても、唯一効き目があるのはこの単語だ。P.153(下巻)
人類が銀河系に広まるさまは、癌細胞が生体にはびこるさまとまったくおなじではありませんか。人類はみずからの膨張と繁栄しか眼中になく、滅びゆき虐げられる無数の生物種など一顧だにせず、ひたすら殖えつづけた。そして競合する知的生物を、つぎつぎに滅ぼした
P.263(下巻)
来世というものはあるのかしら。目が覚めてみたら、すべてが夢だったなんていうことがあるのかしら。きっとあるわよね、人間というものは、こんな苦しみを受けるために創られたんじゃないもの
P.341(下巻)
人が自意識と呼ぶものは、苦しみの波濤のあいまに生じる澄んだ潮だまりにすぎない。人はみな、みずからの苦しみに耐え、それを抱きしめるように創られている、運命づけられている――そう、狼の仔を腹に隠したスパルタ人の泥棒がその仔に腸を食いつくされるように。
P.341(下巻)
兵士が政治状況を理解することはめったにない
P.385(下巻)
だれにでもなれたはずなんだ、ハント。愚かしくも最大の、人類のプライド。ぼくらは苦痛を受けいれる。ぼくらは子供たちのために道を切り拓く。そういう態度こそが、ぼくらの夢見た神になる権利をもたらしたんだ
P.430(下巻)
われわれは困難を喜び、異質さを歓迎する。われわれは宇宙をみずからに適応させたりはしない……われわれのほうが適応するのだ
P.452(下巻)
機械とわれわれを隔てるものは、夢だけなのかもしれんぞ
P.474(下巻)

ハイペリオンの没落を読みながら浮かんだ作品



レビューまとめ

ども。読書エフスキー3世の中の人、ポン・デ・ケージョ(ブラジルのチーズパン)がマイブームの野口明人です。
レビューの続きというわけではないですが『ハイペリオンの没落』を読み終えた後、「なんて日だ」ではなく「なんてこったい!」と叫びました。
この本、ラストで2回驚くと書きましたが、読みながら驚いた回数は2回では足りません。ずっと驚きっぱなしなのです。
どんでん返しというか、え!?マジで!?という驚愕の連続。
あぁ。言いたい!ネタバレ出来ないのが非常に残念で、これほどネタバレ無しレビューに困った作品はなかったかもしれない。
設定のどんでん返しは読んでもらわないと説明が出来ませぬ…。
ただ、この作品はどんでん返しだけが魅力というわけではなく、前回とは打って変わって主要人物になったCEO、マイナ・グラッドストーンの魅力も素晴らしいです。
女性ながら、リンカーン大統領になぞらえられるその人物像の心理描写がたいへん素晴らしく、最後の決断なんて、どれだけ悩み抜いたんだろうと、読んでいるこちらの胸も締め付けられるほどでした。
ダン・シモンズは本当にキャラクターを描くのが上手なんですね。
マイナ・グラッドストーン。ただの偉そうなおばーちゃんかと思いきや、これほど人民を愛しているCEOだったとは。
読めば読むほど、どんどん「好き」が増えていく。
ただ、シュライクの存在によって、それらがどんどん破滅していく。せつねー!
…なのに心苦しくも読むことを止められないストーリー展開っていうね。
あー、本当に面白い。『ハイペリオン』を舞台とした物語は一旦終わりますが、『ハイペリオン』から『ハイペリオンの没落』の流れが素晴らしすぎました。
あまりにも素晴らしすぎて読み終えた後、こんな面白い小説、まだまだ続けられるのだろうかと心配になりました。蛇足で続けて、駄作になってしまうシリーズものは多いものです。
そう思いながら次作『エンディミオン』を手に取る僕ですが、実は僕が4作品の中で一番好きだったのは『エンディミオン』なのです。
この作品の巻末の解説者も同じことを言っていましたが。
というわけで、まだまだこんな作品が読み続けられる幸せを噛み締めて次のレビューを書きたいと思います。
ではでは、そんな感じで、『ハイペリオンの没落』でした。
ここまでページを閉じずに読んで頂いて本当にありがとうございます!
良かったら別の記事も読んでいただけると嬉しいです。
最後にこの本の点数は…
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ハイペリオンの没落 - 感想・書評
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ハイペリオンの没落
- 読みやすさ - 95%95%
- 為になる - 71%71%
- 何度も読みたい - 98%98%
- 面白さ - 99%99%
- 心揺さぶる - 90%90%
読書感想文
「この20年のSF小説から1冊だけ読むとしたら何がいい?」と聞かれた時に『ハイペリオン』と『ハイペリオンの没落』の上下巻を差し出すのがSF愛好者の正しい態度だろうと解説者大森望に言わしめた今作は、とにかくすごい。何がすごいって、キャラクターから設定、文章構成、心理描写…などなど、挙げればきりがないほど。あぁ。内容を忘れて、もう一度読みたい…。