- 著者:アルフレッド・ベスター
- 翻訳者:中田耕治
- 出版社:早川書房
- 作品刊行日:1956年
- 出版年月日:2008年02月25日
- ページ数:446
- ISBN-10:4150116342
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虎よ、虎よ!という本を購入したのは、もう10数年前の事。アニメにがっつりハマっていた僕は涼宮ハルヒの憂鬱の中に出てくるキャラクター、長門有希が選んだ100冊という中に入っていたので、アルフレッド・ベスターの『虎よ、虎よ!』という本を購入したのですが、印象的だったのはその表紙。
タイトルもさることながら、あまりにも強烈なイメージを与えてくるその表紙の本を「面白そうだな」と思いながら、読まずにいたのは、長門の100冊に登録されていた別のSF小説『星を継ぐもの』を読んで、そのあまりにも体質に合わないSFというジャンルに敬遠する気持ちを持ってしまったからでした。
ところが最近、まだこのサイトには感想を書いていませんが、Amazonのセールで安く購入した『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』と『夏への扉』という二つのSF小説を読み、立て続けに自分の中で大ヒットし、「SF小説面白いやないか!」と思い直して、『虎よ、虎よ!』を読むことに決めたのです。
…が、しかし!
まさかここまで表紙やタイトルから自分が思い描いていた内容と違う結末を迎えるとは!
あなたは『虎よ、虎よ!』の表紙を見て、どんな内容を思い浮かべますか?
きっと、その想像はこの本を読むことによって、ことごとく覆されていく事でしょう。
…と、まぁ、最初に長々と語ってもあれなんで、『虎よ、虎よ!』のレビューの方に入らせてもらいます。これを読み終えた後のあなたは、すぐさま書店へ走っているかもしれません…。
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小説『虎よ、虎よ!』 – アルフレッド・ベスター・あらすじ
読書エフスキー3世 -虎よ、虎よ!篇-

あらすじ
書生は困っていた。「結局の所、復讐は悲しみしか生み出さない…」と仕事中に寝言を言ったせいで、独り、無料読書案内所の管理を任されてしまったのだ。すべての本を読むには彼の人生はあまりに短すぎた。『虎よ、虎よ!』のおすすめや解説をお願いされ、あたふたする書生。そんな彼の元に22世紀からやってきたという文豪型レビューロボ・読書エフスキー3世が現れたのだが…
虎よ、虎よ! -内容紹介-



まさに黄金時代あった。雄渾な冒険が試みられ、生きとし生けるものが生を謳歌し、死ぬことのむずかしい時代だった……しかし、誰ひとりそんなことを考えてはいなかった。これこそ、富と窃盗、収奪と劫略、文化と悪徳の未来の実現だった……しかし、誰ひとりそのことを認めていなかった。いっさいが極端にはしる時代であり、奇矯なものにとって魅惑的な時代だった……しかしそれを愛するものとてなかった時代なのである。
引用:『虎よ、虎よ!』アルフレッド・ベスター著, 中田耕治翻訳(早川書房)







虎よ、虎よ! -解説-









































かくて、わずか五秒間のあいだに彼は生まれ、生き、死んだのだった。三十年も生き、六ヵ月も苦痛にさいなまれた果てに、平凡な普通人、ガリー・フォイルはもはや何者でもなくなった。鍵が彼の魂の錠に挿入され扉が開いた。ところがその内部からあらわれた者が、彼を永久に抹殺したのだ。
「きさまはおれを見すてたな」ゆっくりこみあげてくる激怒をこめて彼はいった。「おれを見すてて犬のようにくたばらせようとするんだな。おれをこのまま見殺しにするのだ。《ヴォーガ》……《ヴォーガ・T・一三三九》。いいか。おれはここを出てやるぞ。きさまについていくぞ、《ヴォーガ》。きさまを見つけ出してやる。この仇をとってやるぞ。滅ぼしてやる。殺してやるぞ、《ヴォーガ》。殺してズタズタにしてやる」
胸をやきつくす激怒は、これまでガリー・フォイルをつまらない人間にしていた残酷な忍耐と不活発さを食い荒らし、つぎつぎに爆発する連鎖反応をうながして、ガリー・フォイルを地獄の機械へと変えた。彼は誓った。
「《ヴォーガ》、おれはきさまを徹底的に殺戮してやるぞ」引用:『虎よ、虎よ!』アルフレッド・ベスター著, 中田耕治翻訳(早川書房) PP.35-36


























































わたしが賢明に開発しようと努力しているのは、視覚と、音響と、文脈とをドラマチックなパターンに融合させる技術である。読者の目と耳と心を一つに溶け込ませ、それらの各部分の総和より大きいものを味わってもらいたいのだ。わたしの奇妙な信念からすると、本を読むことは、本を読む以上の何物かでなくてはならない。それは、全感覚的な知的体験でなくてはならないのだ。
引用:『虎よ、虎よ!』アルフレッド・ベスター著, 中田耕治翻訳(早川書房) p.436














批評を終えて











いつもより少しだけ自信を持って『虎よ、虎よ!』の読書案内をしている書生。彼のポケットには「読書エフスキーより」と書かれたカセットテープが入っていたのでした。果たして文豪型レビューロボ読書エフスキー3世は本当にいたのか。そもそも未来のロボが、なぜカセットテープというレトロなものを…。


名言や気に入った表現の引用


進歩は極度の奇形の結合による、およそ対蹠的なものの不調和な合併から生じる。
pp.21-22
誰だって他人が自分のことを内心どう思っているかなんて知りたくありませんものね。
p.58
闇と、沈黙と、単調さが人を狂気に追いこんだり自暴自棄にするのだ。
p.113
もし先がとがってなかったら、この世でいちばん強力な鑿だって、使いみちがないってこと。
pp.119-120
おれたちのすることはいつも当然なんだよ、ただ、ときどきしてはいけないことをしてしまうんだ
p.156
十五歳のときに欲しいと思ったものが五十歳になって全部手に入ったら、そいつが幸福ってものさ。
p.157
彼がわたしをつかまえることからはじまったんだけど、わたしが彼をつかまえることで終わったのよ
p.278
外部に対してどれほど自分をふせいだところで、いつも内側の何かの影響をうけているものだからね。裏切りに対してはふせぎようがない。しかも、われわれは誰しも自分を裏切っている
p.311
単純なものは何ひとつないことを理解することを学んだ。単純な答などはない。はげしく誰かを愛しながら、きらうこともできる
p.351
人間にとりつくもののなかでもっとも始末のわるいもの。私は良心という珍奇な病気にかかったのです
p.370
これがわれわれすべての姿だ。、われわれは自由意志についてさかんにしゃべっている。しかし、われわれはただ反応するだけだ……きまりきったやりかたで機械的に反応するだけだ。それで……わたしはここにいる。つまり、反応しようと待ちかまえているだけだ。ボタンを押してごらんなさい、わたしはとびあがりますよ
p.413
あなたはきっと反問なさるでしょう。なぜ生きるのか? それはおききになりませぬよう。ただ生きることです
p.421
あなたがたはみな奇形です。しかしいつでも奇形だったのです。人生は奇形です。だからこそ、それがその希望であり栄光なのです
p.422
諸君はブタだ。ブタみたいに阿呆だ。おれのいいたいのはそれだけだ。諸君は自分のなかに貴重なものを持っている。それなのにほんのわずかしか使わないのだ。諸君、聞いているか? 諸君は天才を持っているのに阿呆なことしか考えない。精神を持ちながら空虚を感じている。諸君全部がだ。諸君のことごとくがだ……
p.429
何か信ずるものをもつことは必要ではない。どこかに何か信ずるに値するものがあることを信ずることが必要なのだ
p.431
わたしが賢明に開発しようと努力しているのは、視覚と、音響と、文脈とをドラマチックなパターンに融合させる技術である。読者の目と耳と心を一つに溶け込ませ、それらの各部分の総和より大きいものを味わってもらいたいのだ。わたしの奇妙な信念からすると、本を読むことは、本を読む以上の何物かでなくてはならない。それは、全感覚的な知的体験でなくてはならないのだ。
p.436

虎よ、虎よ!を読みながら浮かんだ作品




レビューまとめ

ども。読書エフスキー3世の中の人、免許更新前に前髪を切りすぎて凹んでいる野口明人です。
いやはや、久しぶりに記事書きましたが、実は本自体は結構読んでいるんですよね。
前回までは、ずっとポール・オースターの作品を扱っていて、リヴァイアサンの次の作品である『ミスター・ヴァーティゴ』も読んだっちゃ読んだんです。
ですが、どうも記事を書く気力が起きなくてですね、ひたすら本を読んでは感想の下書きだけを書いて終わるという事が続いておりました。
が、しかし。今回の『虎よ、虎よ!』に関してはぜひとも記事にせねばならん!と駆り立てられまして。
今まで数々と本を読んできましたが、ここまで想像していた内容のはるか上を越えていくラストを叩きつけられた事はなかった!と、感動したのです。
ぶっちゃけ、読んでいる途中まではですね、翻訳が悪いのか、原文が合わないのか、とにかく自分の音感リズム(頭の中で読むときの言葉のリズムのようなもの)に合わなくて、読みづらくてたまらなかったのです。なんじゃい、この日本語は!とかツッコみながらね。
ですが、それでもやっぱり内容が面白くて読み進めていたんです。そしてペラペラと読んでいるうちに、だんだんストーリー展開が怪しくなってきて。復讐劇じゃなかったんかい!もしかして、エヴァンゲリオンのテレビのパターン!?とかラストを想像して、嫌な予感を抱いたわけです。
ところがどっこい。
自分でも何を読んでいるのかわからなくなるほど、不思議な世界に連れられて、読み終わった頃には、「すげー作品だった。これはすげー作品だった!!」とすぐさまブログ記事の下書きを始めるに至ったのです。
とにかくすげーんすよ。アルフレッド・ベスターって、すげーんすよ。
SFってちょっと苦手意識あったんですが、もうこれを読んでしまうと他のSFも読まずにはいられませんね。アルフレッド・ベスターがヒューゴー賞を受賞した時のライバルは、これまたSF小説の傑作と言われているアーサー・C・クラークの『幼年期の終り』だったんですよね。
1950年代ってどれだけSF小説の宝庫なんだ。SFの黄金時代と言われているだけありますね。本棚に飾ってあるSF小説を眺めてみると、そのほとんどが1950年代の作品なんですよ。
あぁ。SFブーム来たかも。
とりあえず、気に入った作家は全部読んでみるという癖のある読み方をしてしまう僕ですが、当分の間は作家に固定せず、飽きるまではひたすらSF小説を読んでいきたいと思います。それと並行して、長門有希の100冊を読破してみようかな。
それでは、まだまだ書き溜めた下書きの方はあるので、ぼちぼち記事をあげていきたいと思います。良ければお付き合いくださいませ。
ではでは、そんな感じで、『虎よ、虎よ!』でした。
ここまでページを閉じずに読んで頂いて本当にありがとうございます!
最後にこの本の点数は…
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虎よ、虎よ! - 感想・書評
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虎よ、虎よ!
- 読みやすさ - 68%68%
- 為になる - 71%71%
- 何度も読みたい - 89%89%
- 面白さ - 96%96%
- 心揺さぶる - 86%86%
読書感想文
内容が難解というわけではないのですが、日本語が少しくどいので読みづらさはあるかもしれませんが、それに目をつぶりたくなるぐらい、内容は面白いです。テレポーテーションが一般的になった時代、一体どんな展開になるのかとハラハラドキドキしながら読みました。SFが苦手なあなたもぜひチャレンジを!